毛利稔勝訳/ハイム・ラビン「ヘブライ語小史」

訳者・毛利稔勝(としかつ)さんは2008年にイスラエルの病院で亡くなりました。78歳でした。その死後に、生前交流のあった者たちが彼の残した翻訳論文を一冊の小冊子にまとめました。東京神学大学時代の同級生で現在教文館の社長をしている渡部満くんがその労の多くを負い、「あとがき」をヘブライ思想の著名な専門家・池田裕氏が書いておられます。

その小冊子には、メヘナム・ハラン「ヘブライ語による聖書研究ーその特色と傾向についてー」と今回紹介する「ヘブライ語小史」の二つが納められています。両著者とも毛利さんのヘブライ大学における恩師です。

「ヘブライ語小史」について著者は本書の記述方法について、「さまざまな時代におけるヘブライ語とユダヤ人との間のきずなや関係を概略し、ユダヤ人の社会生活における変化がこの言語の使用と性格に与えた影響、およびそれがさまざまな状況のもとで生きる人々のために果たした役割が何であったかを知ることに努め」と記しています。そのような論文です。

つまり、ヘブライ語の歴史を、現在(1978年)に至るまでの長い苦難の多いユダヤ人の歴史と共に記述しています。この論文を読む者は、誰でも、初めて知る多くのことに出会うはずです。

また、本書のはたず役割・目的について、著者は次のように記しています。「もし読者の方々が、ヘブライ語がどのようにして捕囚の長い年月の間も生き続け、また何故100年足らずの間に復活したかということを理解してくださるなら、この書の目的は十分に達せられたことになるだろう。」

個人ブログで、少しずつ内容を紹介するつもりです。)

毛利さんは東京神学大学に二度入学しておられます。二度目は40歳近く、人生経験を積み重ね、ヘブライ語とヘブライ人とその古里への深い関心と共に学んでおられました。神学大学で一、二の(たぶん)教授の他、毛利さんよりヘブライ語に習熟していた人はいませんでした。卒業後、ヘブライ大学に進み研究を深められたのでした。一時、私たちにしてみれば、消息不明な時期がありましたが、一貫してヘブライ語とイスラエルの地を愛してすごされました。

そして、翻訳の労によって、その一端を私たちに残してくれました。この貴重な小冊子は1000冊限定で、値段はつけましたが(印刷製本の費用をまかなうため)、人から人へと配布されました。わたしは30冊を引き受けて、必要な人に配布しました。たいへん貴重な小冊子です。

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